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教育とは何か?(方針・目的・目標・計画)

「さて、教育とは一体何ぞや。」ちょっと装飾すると難解になってしまいますが、要するに昨今流行の「生きる力の養成」と一言で言えば、なるほどと頷けます。

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「教育とは、一体何ぞや。」

日本国憲法と教育基本法を紐解けば、格好が良く耳触りの良い、答えらしき言葉の羅列を見付け出すことが出来ます、と申しますか、答えはそこ以外には存在しないように思います。

「民主的で文化的な国家を建設し、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする理想を実現するために、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期すると共に、普遍的にして、しかも、個性豊かな文化の創造を目指す教育を、普及徹底しなければならない。」

この難解な表現が、理解出来ようと出来まいと、教育というものの、一応の方向性を、ここに指し示すことが出来ているのではないでしょうか。





世間には、「固定した考えはナンセンスである」との意見もありますが、個人レベルにおいて、固定的で一方的な考え方を持つことは、特にそれが社会正義に反しない限りであれば、例えそれが、どのような考え方であったとしても、誰も異存は無いところではないでしょうか。

それに対して、「どのような考え方をしようが、個人の自由であって、例えば、社会正義に反するような考え方を、持つようになったとしても、それはそれで良いではないか」とか、「社会正義とは一体何だ、そして、それは誰が判断するのか」などの問い掛けは、当該話をより一層複雑にしてしまいますので、ここでは割愛させて頂くとして、自分の考え方を他人に押し付けるような、そのような不遜な行為が、そもそも出来る訳も無く、また、他人の考え方に触れた瞬間に、簡単に感化されてしまうというほど、人間の思考というものは柔ではない筈です。





固定した考え方に対して、いちいち攻撃を加えずにはいられないのであれば、本や新聞、雑誌はおろか、およそ人間の考え方というものに、人間は、一切触れられないことになってしまいます。

それとも、自分と違った考え方の存在を許さず、各個個別に駆逐し尽くすことが目的でしょうか。

そうなれば、他の考え方に対して攻撃を加えるばかりが、自分の人生となってしまいます。

他人の考え方は、それはそれとして、尊重して上げれば良いのではないでしょうか。

同じように、国家が決めている教育の理念も、それはそれとして尊重した上で、自分が教育をどのように捉えるかは、また別の話、まったくの自由です。





自らの考え方は、自らが一番よく知るところなのですが、これが他人となってしまうと、当たり前のことですが、全く何を考えているのか掴み所がありません。

これはもう、凡庸なようですが、「自分は自分、他人は他人」と、言ってしまう外は無く、人それぞれに、また、それぞれの考え方があるということは、ここで改めて言うまでもなく当たり前過ぎることであって、それを外に向けて発信した場合は、人々の眼に触れ、知られるようになり、議論されるようになるのです。

ちょっと大袈裟かもしれませんが、教育の理念と同じように、個人も理念を掲げているようなものなのです。

固定的考え方を持つことと、「固定した考えはナンセンス」との考え方は、相互不可侵、かつ、相互尊重の関係にあり、違うプラットフォームから出発した列車のように、互いに交わること無く、並走するのです。





国家が教育の理念を掲げることに関しては、「然(さ)も有りなん」と思うのですが、個人が自らの考え方をしっかりと掲げることは、実際、持っている人も、持っていない人も両方居て、持っていない人にとっては、自分の考え方を持つということが、どういうものなのかピンと来ないし、感覚が掴めないと言うか、想像が出来ないし、持っている人にとっては、持っていないことが信じられないのです。

ここでは、教育の理念を引き合いに出すより、もっと身近な例として、あなたがお勤めの会社を考えてみることに致しましょう。

あなたがお勤めの会社にも、企業理念というものを、掲げていると思うのですが、如何でしょうか。

「収益重視の事業を展開し、国家や地域や社会、または、お客様や株主の方々に貢献します」、「業界トップレベルの企業を目指します」、「商品やサービスの品質や安全性の向上を図り、お客様の信頼を高めます」などの理念を掲げていないでしょうか。

具体的に例示すれば、雪印乳業では、「生命の輝きを尊重し、人々の健康づくりを通じて、味わい豊かな生活と、いきいきとした未来に貢献します」と掲げ、トヨタ自動車では、「内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす」、また、「各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する」などと、掲げているようにです。

国家も会社も個人も、みんな同じことですが、まずは、芯となる方針(理念)を決めるものではないでしょうか。





冒頭に、「教育とは、一体何ぞや」という、問いに対しての答えは、日本国憲法と教育基本法にしか無いと言ったのは、国家の理念、即ち、全国民が等しく、そして広く一般的に共有できる理念を掲げられる場所として、「そこしか無い」という意味合いからです。

「私は、こう考える」、「僕は、こう考える」などのように、個人が違った教育の理念を、それぞれ掲げても、別に良いと言えば良いのですが、国家の行う教育は個人プレーではありませんので、どこかで全体的な理念を決める必要があり、そうでないと全体的な目標や計画が定まらず、それにぶら下がっている人々の焦点もぶれ、従って、掲げたものが、実行も成就もならない、ということになってしまうからです。





教育基本法の第一条、教育の目的には、「教育は、人格の完成を目指し、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を重んじ、自主的精神に満ちた心身ともに、健康な国民の育成を期して行わなければならない」とあります。

教育理念が、本当に、個別具体的に実現したいものであればあるほど、方針や目的を決める必要が出てきます。

掲げることのみが目的であって、実現できるかどうか、どうでも良いのなら、もちろん決める必要は無いのですが。





方針、目的を定めたら、次にそれらを達成するための、目標(長期、中期、短期)を定め、具体的に推し進める、計画やプログラムを策定する必要が出てきます。

例えば、ある会社が、売り上げを3年間で5%伸ばすとの中期目標を掲げたとすれば、それを実行するために、用意周到な準備をし、計画を練り、具体的プロジェクトを立ち上げ、実行に移すようにです。

会社と違って、個人の場合は、方針、目的、目標、計画などの、堅苦しい言葉に囚われる必要は無く、自らの考え方に則って、行動、実行、実現して行けば良いのでしょう。

「固定した考えはナンセンス」と思われる方は、自分の考え方なんて、そんなに簡単に定まるものではない、とのお考えが頭に在るのだと、一方的に推察致しますが、それはそれで、尊重されるべき、ひとつの考え方なのです。

そのことに関しては、勿論誰も何の異存もないところです。

「人生とは、森羅万象の真理を追求するが如く、糾(あざな)える縄を解(ほぐ)すが如し。一生学び続け、悩み抜くのが人生である。運命の女神は、どちらに微笑むか分からない。結果的に「良かった」と思えたら良いではないか。」

人生なんて、案外そんなものかもしれません。





しかし、森羅万象の真理を追究したり、一生学んだり、悩み抜いて何になる、すべてを知らなくても、自分の遣りたいことひとつ分かってしまえば、後はそれを実行するのみ、というのも、尊重されるべき、ひとつの考え方です。

また、会社が社会に貢献するのかしないのか、利益を追求するのかしないのか、を決めなければ、事業の行いようが無い、というのと同じように、個人も、考え方を決めなければ、何をして良いのやら分からない、というのも、尊重されるべき、ひとつの考え方なのです。

我々は、それぞれが掲げているものを、全体的に流し読み、自分の考え方に照らして、不必要と思われる部分は切捨て、必要な部分だけを参考にすれば良いのではないでしょうか。





「さて、教育とは、一体何ぞや。」

前述の通り、理想を品格のある言葉で飾り立てれば、日本国内だけではなく、世界の平和を希求し、人類の福祉に貢献し、人間としての尊厳を保障する恒久的な人類社会を構築し、維持し、発展させていくための、人作りである、となります。

一読し、二読して、三読し、まあ、言わんとするところは、理解できないこともないな、と思うのですが、もっと簡単な言葉で、理解し易く出来ないか試みれば、教育とは、基本的、本来的に、読み書きソロバンと、礼儀や道徳を教えること、となるのではないでしょうか。

「読み書きソロバンの、ソロバンとは何ですか」と言われそうなので、読み書き聞き話す、とでもしておきます。

もう少しだけ装飾して格好良く表せば、社会人として相応しい人間を形成することを目的として、学問にまで昇華させた専門的な知識を含め、広く一般的な基礎知識や技能を授けるのは勿論のこと、心身ともに、健康で健全な人間育成と、個人の人格形成を図る、となります。

そして、教育の各段階では、個人の個性を伸ばし、可能性を導き出し、社会への適応能力を育て、そして、結果や努力を適正に評価し、その結果の反省の下に、成果を個人にフィードバックしてあげて、自らの問題を発見し、考え、解決して行く資質や能力の育成を行います。

ちょっと装飾すると難解になってしまいますが、要するに、昨今流行の、「生きる力の養成」と、一言で言えば、なるほどと頷けます。





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参考:教育基本法(昭和22年3月31日法律第25号・昭和22年3月31日施行)

われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。

われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造を目指す教育を普及徹底しなければならない。

ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。

第一条(教育の目的)
教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に満ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない。

第二条(教育の方針)
教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によつて、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。

第三条(教育の機会均等)
1 すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであつて、人種、信条、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。

2 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によつて修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。

第四条(義務教育)
1 国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。

2 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。

第五条(男女共学)
男女は、互に敬重し、協力し合わなければならないものであつて、教育上男女の共学は、認められなければならない。

第六条(学校教育)
1 法律に定める学校は、公の性質をもつものであつて、国又は地方公共団体の外、法律に定める法人のみが、これを設置することができる。

2 法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。

第七条(社会教育)
1 家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によつて奨励されなければならない。

2 国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館等の施設の設置、学校の施設の利用その他適当な方法によつて教育の目的の実現に努めなければならない。

第八条(政治教育)
1 良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。

2 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

第九条(宗教教育)
1 宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。

2 国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。

第十条(教育行政)
1 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。

2 教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。

第十一条(補則)
この法律に掲げる諸条項を実施するために必要がある場合には、適当な法令が制定されなければならない。

附則
この法律は、公布の日から、これを施行する。

 

 

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